「国語が80点以上で、なおかつ数学も80点以上なら合格」といったように、複数の条件を組み合わせて判断したい場面は、仕事でもよくありますよね。ExcelのIF関数にAND関数やOR関数を組み合わせることで、こうした複雑な条件分岐も簡単に設定できます。一つずつステップを踏んでいけば、決して難しくありません。この記事で基本をマスターして、データ分析や資料作成の効率をぐっと引き上げましょう。
IF関数、AND関数、OR関数とは?
まずは、今回登場する3つの関数の役割を簡単におさらいしておきましょう。
- IF関数: 「もし〇〇ならA、そうでなければB」というように、条件によって表示する内容を変える関数です。
- AND関数: 「すべての条件が満たされているか」を判定します。「Aであり、かつBである」というイメージです。
- OR関数: 「いずれかの条件が満たされているか」を判定します。「Aである、またはBである」というイメージです。
今回は、このIF関数の中にAND関数やOR関数を埋め込む(専門用語で「ネストする」と言います)ことで、より複雑な条件設定に挑戦します。
「かつ」の条件で判定する (IF + AND)
まずは、「すべての条件を満たした場合」を判定する方法から見ていきましょう。
【ステップ1】AND関数で「複数条件がすべて真か」を判定する
例として、下のような成績表を用意しました。この表で、「国語が80点以上、かつ数学も80点以上」の生徒を見つけてみましょう。
まず、AND関数の動きを確認します。D2セルに、以下の数式を入力してみてください。
=AND(B2>=80, C2>=80)
これは、「セルB2(国語の点数)が80以上、かつ、セルC2(数学の点数)が80以上」という意味になります。両方の条件を満たしていれば「TRUE(真)」、そうでなければ「FALSE(偽)」と表示されます。
【ステップ2】IF関数と組み合わせて結果を表示する
次に、このAND関数の結果をIF関数に組み込みます。先ほどのTRUE/FALSEの判定を、IF関数の「論理式」(もし〇〇なら、の〇〇の部分)として使うのです。
E2セルに、以下の数式を入力します。
=IF(AND(B2>=80, C2>=80), "合格", "不合格")
この数式は、
AND(B2>=80, C2>=80)
で、「国語」と「数学」の両方が80点以上か判定し、- その結果がTRUE(真)であれば、IF関数が「合格」と表示し、
- FALSE(偽)であれば、「不合格」と表示する
という仕組みです。入力できたら、E2セルの右下隅(フィルハンドル)をダブルクリックして、数式を一番下の行までコピーしましょう。これで、全員分の合否が一瞬で判定できました。
「または」の条件で判定する (IF + OR)
次に、「いずれかの条件を満たした場合」を判定する方法です。
【ステップ1】OR関数で「いずれかの条件が真か」を判定する
今度は、「国語または数学のどちらか一方でも80点以上なら、”追試” とする」という条件を考えてみましょう。
先ほどと同様に、まずはOR関数の動きを確認します。F2セルに、以下の数式を入力します。
=OR(B2>=80, C2>=80)
これは、「セルB2が80以上、または、セルC2が80以上」という意味になります。どちらか一方でも条件を満たしていれば「TRUE」、両方とも満たしていなければ「FALSE」と表示されます。
【ステップ2】IF関数と組み合わせて結果を表示する
最後に、このOR関数の結果をIF関数に組み込みます。
G2セルに、以下の数式を入力してください。
=IF(OR(B2>=80, C2>=80), "追試対象", "")
この数式は、
OR(B2>=80, C2>=80)
で、「国語」または「数学」のどちらかが80点以上か判定し、- その結果がTRUE(真)であれば、IF関数が「追試対象」と表示し、
- FALSE(偽)であれば、「””(空白)」を表示する
という仕組みです。こちらもフィルハンドルをダブルクリックして、数式をコピーすれば完了です。
まとめ
今回は、IF関数にAND関数、OR関数を組み合わせることで、複数の条件に応じた処理を行う方法を解説しました。
- 「かつ」の条件(すべて満たす必要あり) →
=IF(AND(条件1, 条件2), 真の場合, 偽の場合)
- 「または」の条件(いずれかを満たせばOK) →
=IF(OR(条件1, 条件2), 真の場合, 偽の場合)
この二つのパターンを覚えておくだけで、Excelでのデータ処理能力が格段に向上します。最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、一つ一つの関数の意味を理解すれば、応用も効くようになります。ぜひ、ご自身の業務でも活用してみてください。
今日のひとこと
最近、マイクロソフトが発表した「Excel JavaScript API 1.18」では、開発者がより高度なExcelアドイン(拡張機能)を作成できるようになる新しい機能が追加されたそうです。私たちが普段使っている関数も、こうした技術の進化によって、より便利になっているのですね。日々の業務で「もっとこうなったら楽なのに…」と感じることがあれば、それは新しい学びのチャンスかもしれません。
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